2014年3月25日火曜日

【私的ニュースTOP5】2013年世界音楽売上げは日本低迷が原因で前年比減

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<第1位>

 世界の音楽市場は横ばいで、iTunesを中心とするダウンロード型から、Spotifyなどのストリーミング・月額課金型モデルへの移行期。そんなトレンドとはかけ離れて、ガラーケー向けサービス(着うた)の落ち込みをスマホの配信が補えないという周回遅れを走って状態の日本という構図だ。
 SXSWに行って感じたのは、音楽サービスに次のイノベーションの気配は無いということ。目立ったのは、Samsungの新音楽サービスMILKの膨大にお金を掛けたPRと、BEATS MUSICへの注目度の高さ、それと先週のTOP1に採り上げた、ニール・ヤング入魂のハイレゾ配信&デバイスのPONOだった。技術やサービスの構造に新規性は無い。
 「もうゲームのルールは決まったから、そこで戦って白黒つけようぜ」って感じなのか。トークセッションのテーマもウエアラブルやクラウドファンドや3Dプリンターなどだった。

 この状況は日本にとってはラッキーだと思う。現状の音楽デジタル市場は、欧米の周回遅れだけれど、もう一つ先に行かれたら、挽回は大変だ。悪い意味でのガラパゴスで、シュリンクする市場を内向きに守り続けるしか無くなってしまい、海外では欧米プラットフォーマのルール上でコンテンツを出すしかなくなって、主体性は持てなくなる。いわゆる負け組だ。
 今ならまだ間に合う。iTunesが広く普及しなかった日本市場は、ストリーミングへの移行がスムーズなはずだ。固定電話網が不十分な国では携帯電話の普及が早いみたいな話。
 一旦、ダウンロード配信が市場の中心になった欧米では、ストリーミングはダウンロードの代わりという位置づけになるが、パッケージ市場が健在な日本は、ストリーミングは、古くはジュークボックス、ラジオ局、カラオケといった、音楽を使ったコミュニケーションサービスの進化形と捉える方が自然だ。
 パッケージとストリーミングの両輪で日本の音楽市場が活性化すると、世界の音楽市場も上向くということだね、とこのニュースを前向きにとらえたい。
 2014年は変化の節目にしなくちゃいけないと思う。

<第2位>

 米国はミレニアム法という形で、所定の使用料を支払えば、インターネットサービスを権利者の許諾なしでやれる仕組みがあります。そこの徴収分配を担っているのが、SoundExchangeという団体だ。PANDORAiHeartなどのインターネットラジオの収益を徴収して、レコード会社とアーティストに折半して分配している。その徴収額は59000万ドルという大きな金額になっているそうだ。
 日本と米国では著作権法の立て付けも、業界慣習も、ビジネススキームも違うので、全く同じ枠にはできないけれど、いわば「日本型」のSoundExchangeの役割が求められていると思います。
 内閣府の知的財産戦略本部も、音楽流通促進の方法を積極的に検討しているそうなので、、権利者の立場を守りながら、ネットで音楽がどんどん聴かれていくようになるための仕組みが、日本にもできることを期待したい。

<第3位>

 これからの日本は知財が重要な産業なのは当たり前だけれど、音楽を含む、エンタメコンテンツは大幅な輸入超過な状態だ。J-POPが外貨を稼ぐことに貢献できるように頑張り
たい。

<第4位>

 中国だけのサービスが、グローバルNo.1Facebook並の時価総額が付きそうというところに、中国市場に対する米国資本市場の高い評価が現れている。
 これからの日本経済は中国市場抜きでは語れない。音楽ビジネスは、まだ今すぐは動きにくいけれど、ライブ市場としては既に魅力的だし、中期的には中国ビジネスを視野に入れておくことは、音楽業界にとっても必須だ。注視はしておきたい。

<第5位>

通信会社の強さを感じる。コンテンツプラットフォームとして、魅力的だ。


<圏外>

 SXSWでも、PONOの登場をアップルが脅威を感じているという話が聞かれた。「前門のSpotify、後門のPONO」で、iTunes Storeは、次のステップに進むことが求められている。iTunes Storeはデファクトスタンダードになったから、次のイノベーションに進めないという勝者のジレンマを抱えていることは間違いない。
 どういう戦略で打開を図るのかに注目したい。

<番外編>

 ピントがずれた解説に感じた。心配するべきは、メディアが政府に牛耳られることではなく、政治が大手メディアに「人質」を取られていることの気味の悪さではないか?
 どこの国にもエグゼクティブな一族は居るものだけれど、ジュニアが血筋で得する国は、社会の活力が落ちていくよね。



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2014年3月2日日曜日

Jポップ輸出が国策に、配信売上がCD上回る、日テレHulu Japanを売却される、Groovy終了など、週間TOPニュース!

<第1位>
 クールジャパン戦略の中で、Jポップも重視されてきました。昨年は、テレビ番組の
海外販売を主眼にしていたのですが、思ったほどの成果が上がっていないので、音楽に
目を向けてくれたのかもしれません。理由はともあれ、チャンスですので、音楽業界は
千載一遇のチャンスと考えて、最大限、活用すべきです。
 私も先日、内閣府知的財産戦略本部の方に呼ばれて、お話をしてきました。日本社会は
意思決定は遅いですが、方向が決まると向かいますので、音楽の輸出と、コンサートなど
を観光資源にするという考え方が「国策」になることの意味は。大きいです。Jポップを
国力向上に使うという発想を広めたいと思っています。

<第2位>
 LINEの新サービス発表は、激震と呼べる衝撃が走っていました。スタンプ販売のオープン化、電話サービスの開始など、注目すべき新機能が目白押しです、

<第3位>
 2013年は、エポックメイキングの年となったようですね。世界でシェアの4割を占める
No.1レコード会社の売上比率で、フィジカル(CD)をデジタル(配信)が上回ったというのは、象徴的な出来事だと思います。
 日本のレコード会社も時代の流れに鋭敏な対応を望みたいです。音楽配信サービスに対
する許諾は、「原則OK」という方針にするべきです。同時に、パッケージは日本の特徴、
強みであるという認識も大切だと私は考えます。

<第4位>
 このニュースは驚きました。びっくり度では、第一位かもしれませんね。これから様々な分析が出てくるかと思いますが、多様な理由、思惑が交錯した「複雑系」の意思決定による出来事だと私はとらえています。
 Hulu Japanが、順調に収益を上げていなかったことは、間違いないでしょう。ただ、
Huluは挫折というよりは、「名より実をとった」結果のように思います。
 日本のテレビ局が、配信サービスの拡充に動き始めたトレンドの中で、日本テレビ
にとっては、絶好のアピール材料だと思います。

<第5位>
 おおむね、予想通りです。着うた市場の崩壊を、スマホ配信で補えず、ストリーミング
は、まだ普及せずというのが、日本の音楽配信市場の現状であることを数値として確認
しましょう。

<圏外>  
 本気で「勝負する」というタイミングがないまま、サービスが終わってしまう印象が
ぬぐえません。DeNAからは、事前にご説明をいただたいのですが、その際のお話、数値
などを拝見すると、iPhoneアプリのアップル社許諾の失敗というのが浮き上がってきます。
 「ポイントを使って、フル試聴」というGroovyのコアの機能が、iTunes Storeを持つ、
アップル社にとって容認できなかったようですね。音楽系サービスは、アップル社の不透
明なアプリ基準との戦いが、ユーザー獲得以前にあるのだということを改めて、痛感した
出来事でした。サービス設計はよかったと思うので、とても残念です。

<番外編> 
  元総務省の中村伊知哉さんのブログから。地上波テレビをデジタル化したことによって空いた電波の帯域を何に使うかというのは、日本全体にとって大切な話ですね。
 鳴り物入りで始まった「NOTTV」が、ひいき目に見ても、成功とは言えない状況の中で、V-Lowを使ったサービスがどうなるのか、注目したいです。

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