2012年12月31日月曜日

今年観た映画『映画と恋とウッディアレン』『屋根裏部屋のマリアたち』『夢売るふたり』などなど

ブログを書き始めてからは、観た映画の記録は必ず残そうと決めたんだけれど、半年以上、書かないままだった。
未来の自分へのメモ(ライフログ)でもあるので、年末にまとめて記しておくことにする。
時系列思い出せないし、ランキングにするのは面倒すぎるので、順不同で。本数が多くなってしまったので手短に。

ちなみに、映画名をクリックすると公式サイトに飛びます!

『映画と恋とウッディアレン』
ウッディ・アレンは好きだ。今、「一番羨ましい人は?」って聞かれたら、迷わずこの人だと答えると思う。毎年、世界の色々な街で、好きな様に映画が撮れる。美女達に囲まれ、離婚した女優からも愛されている。そんな彼のドキュメンタリー伝記映画。
ニューヨークでスタンダップコメディをやっていた頃の逸話など、知らない話も沢山あった。ファンはマスト!

『恋のロンドン狂騒曲』
そんな、ウッディ・アレン監督の映画、バルセロナ、パリに続いて、今回はロンドン。相変わらずエスプリ感溢れて、良い感じ。恋愛も宗教も人生の悩みもいろんなものを、ちょっと小バカに茶化しながらも嫌みにならないのは、登場人物に対する愛情があるからなんだろうな。ともかく、長生きして、たくさん映画を作って欲しい。ウッディアレンが描く都市と人の姿が大好きだから。

『アーティスト』
アカデミー賞作品賞等受賞。サイレント映画が滅んで、トーキー映画に移り変わる時期の、サイレント映画のスター俳優が主人公。設定は珍しくないけれど、映画のほとんどがサイレントになっているというアプローチが秀逸。映画好きが喜ぶ映画だと思う。

『肉体と悪魔』
『アーティスト』の影響かどうかわからないけれど、最近、サイレント映画に人気が高まっているそうだ。弁士では無く、生ピアノの即興演奏付きという上映会が頻繁に行われるようになっている。豊洲で行われた上映会でのピアニスト、柳下美恵さんは、旧い友人。ソーシャルメディア上で久々に再会したら、サイレント映画のピアニストになっていた。活躍が嬉しい。この日の演奏もグレタ・カルポの美貌に似合う好演だった。
 ●柳下美恵さんツイッター:@miesilentpiano


『アリス』
変わった上映方法と言えば、目黒クラスカの「ルーフトップシネマ」にも行った。広い屋上に座って、お酒を飲みながら、大きなプロジェクターの上映を観る。一部の人には、夏の風物詩になっているらしい。気持よかった。
チェコ巨匠、ヤン・シュヴァンクマイエル監督の作品も東欧らしくて良かった。鬼才の脳みその中を覗いた感じ。『アメリ』をもっと変態ぽくした印象。

『へルタースケルター』 
ロードショー映画も観たよ、って事で。まずは、蜷川実花監督、沢尻エリカ主演の本作。
原作の漫画が人気だから難しいかなぁと思ったけれど、予想以上に良かった。監督と主演のキャスティングが適切だったね。
興行的には、女の子も観られるって大事だよね、デートムービーとして成立していたと思う。


『アウトレイジ・ビヨンド』
北野武監督は、尊敬する日本人クリエイターの一人だけれど、怖い映画が好きじゃ無い僕は、時々見逃してしまう。前作『アウトレイジ』は観てないので、DVDで観なきゃ。続編だけれど、前作を観て無くても十分楽しめた。
やくざ映画は日本映画の伝統だね。俳優陣が好演。任侠の世界に惹かれるのは社会の縮図になっているからなんだなと改めて思った。オススメです。

『夢売るふたり』
もう一つ、オススメ邦画。西川美和監督は素晴らしい才能だね。前作『ディアドクター』も良かったけれど、本作も心理描写と映画ならではの世界観の組み方が秀逸。
ゆったりとした展開をしながら、そのまま終わらずに、最後にサプライズを用意するという構成も好き。しっかりとしたエンターテイメント感を持っている人なんだと思う。音楽もセンス良いけど。もう少しシナリオと絡んだトリッキーな要素があるといいのになと高望みな希望。いつか仕事でご一緒したい監督です。

『メリダとおそろしの森』
最近はアニメはこれしか観てないな。クオリティが高い。シナリオもよく練られていて、グローバルマーケットへの意識が高い。ディズニー4000年の歴史がノウハウとして蓄積されているなぁと今更ながら感心。
3Dは目が痛くなるから個人的には好きじゃ無いんだけれど、だんだん3Dの必然性がある表現が増えている気がする。色んな意味でもっと洗練されて、定着していくんだろうな。

『台風クラブ』
名画座って言葉はあまり聞かなくなった気がするけれど、早稲田松竹の特集は、素晴らしいと思う。さすがに二本立てを続けて観る時間を確保するのは難しくなっているけれど、相米慎二監督特集とあっては、行かねばなるまい。
本作は、1985年ATG製作って懐かしいなぁ。工藤夕貴が可愛かった。

『お引越し』
相米作品のもう一作は、初めて見た。1993年作品だって。中井貴一と桜田淳子の壊れかけた夫婦の演技が絶妙。
惜しい人をあまりにも若く亡くしたね。改めて合掌。

『屋根裏部屋のマリアたち』
ロードショーを見逃したときも早稲田松竹のお世話になる。実は、今年一番良かったのは、これかもしれないと思うくらい良かった。
フランス映画。フィリップ・ル・ゲイ監督作品は初めてだったけれど、過去作品も観てみたい。フランスらしい上品さがありつつ、軽妙なエンタメ感が心地よい。
主演のファブリス・ルキーニは、キャリア十分だけど、今作は特に存在感が良かった。ちょっと橋爪功に似ている。
そして、主演女優のナタリア・ベルベケが美しい。美し過ぎる。”ワケアリな事情を抱えて気丈に生きるメイド”というのが、日本人好みの設定なのかも知れないけど、あの透明感があってこそ、活きたシナリオだとも思う。ブログを書いているうちに、もう一度、観たくなった。

『僕たちのムッシュ・ラザール』
カナダのフランス語圏の映画。これも佳作。
モントリオールの小学校での教師と生徒の交流が描かれている。担当教師が自殺して傷ついた生徒達を教える代用教員は、アルジェリアからの移民。政治的な迫害を受けて、家族を亡くしてカナダに移り住んだという設定。重みがあるけれど、説教くさくないのが良い。

2012年12月2日日曜日

二冊目の著作を出版しました。 〜音楽関連ビジネス書ブックレビュー2〜


 ずぼらでおっちょこちょいな性格は小学生の頃からだけれど、二冊目の著作を出させてもらったのに、一ヶ月以上経って、自分のブログに書いてないことのは、酷すぎるね。(> <)って顔文字で誤魔化したい気分。遅ればせながらブログ更新です。
 もう、だいぶ間が抜けた告知になるけど、1025日に『ソーシャル時代に音楽を"売る"7つの戦略〜“音楽人”が切り拓く新世紀音楽ビジネスという書籍を出しました。「ソーシャル7」と呼んでね(^_-)-

 立場の違う4人による共著。共通点は音楽が好きで、音楽と関わる仕事をしていること。とはいえ、いわゆる音楽業界の内側にいるのは僕だけで、他の3人はそれぞれ、プロモーション、キャスティング、ソーシャルメディアマーケティングという専門的な能力を持って音楽業界に関わっている。僕は、EAの松本拓也さんに誘われて、共著者になった。4人で何度かミーティングをして、現状認識、将来展望など日本の音楽ビジネスに関する意見交換をした。このミーティングが、執筆よりも楽しくて、いつまでもミーティングを続けたいと思った。

 そうもいかないので、パートごとに役割分担をして、執筆作業にとりかかった。初めて体験したのが、口述筆記的なやりかた。テーマに合わせて話した内容を編集者が文章にしてくれる。それに対して訂正するというやり方なんだけれど、これが良かった。僕が音楽ビジネスについて書こうとすると、どうしても熱くなりすぎる。編集者に理解してもらって、咀嚼されるから、僕自身が書くよりも客観的でわかりやすい文章になる。気になるニュアンスは、そこから手を加えて修正すれば良い。しかも時間的な負担がなくて、本業への影響が小さい。

 作家を気取るつもりは毛頭無いけれど、一から自分で描こうとすると、まとまった集中する時間が必要だ。打合せの合間に1時間空いたからって、ちょっと書くみたいなことは難しい。ビジネスの打合せと執筆は、自分のテンションが違うから、脳みそのチューンナップは結構、大変。このやり方だと、そういう調整が無くても大丈夫。もしかしたら僕は味をしめてしまったかもしれない。

 もちろん、そんなやり方ができたのは、有能な編集者だったからだ。発刊記念イベントの時に、共著者の殿木さんが、「僕ら4人がバンドで、編集者がマネージャーみたいな関係。マネージャーが居ないと成り立たなかった」って言ってたけど、その通り!「ソーシャル7」の貢献度のMVPは、リットーミュージック山口一光さんだ。この場を借りて、お礼申し上げます。本当にお世話になりました。m(__)m

「音楽人」という言葉には、従来の「業界人」ではダメだよね?音楽に携わる人みんなで、前向きに変わっていこうよ!という僕らのメッセージが込められている。
 だから、いつまでも続けていたかったミーティングは、読者も巻き込んでフェイスブックページに引き継いだ。興味のある方は、こちらからご参加下さい。
 意見交換をしたい方は、ここで参加表明してもらえれば、グループに招待します。

 そして、続編に向けて?かどうかわからないけれど、メールマガジンも始めた。既に2号出して、まもなく第3号、共著者4人以外にも素晴らしい寄稿者が協力してくれている。

 世界中で放送されたいる日本の音楽番組NHK国際放送J-MELO」プロデューサーとして海外の日本ファンと最も接している原田悦志さんが、J-MELO世界発信紀」と題して連載してくれる。

 海外の音楽サービスの紹介ブログが素晴らしい、ジェイ・コウガミさんは、「海外デジタル音楽の今」で、最新情報を伝えてくれる。

 知財系弁護士として日本一だと僕は思う、Field R 山崎卓也さんが「クラウド時代の超ラディカル著作権論」を書いてくれる。これだけでもメルマガを始めることにして良かったと思うような刺激的な連載だ。

 そして、ハッピードラゴンの相方であるふくりゅう君には、本来の職域である「ミュージック・コンシェルジュ」としてお薦めの音楽を月1回紹介してもらう。

 そんな「音楽人養成メルマガ」、購読をお願いします。はじめて三ヶ月で読者が1000人を超えなければ、休刊するという方針を課したので、良いと思ったら、友人知人にも薦めてね。

 音楽ビジネスといえば、素晴らしい本が出版されたので、紹介したい。以前書いた、「音楽関係ビジネス書ブックレビュー」の続編。

 名著。著者はインターネットで全国のラジオ局の番組がきけるプラットフォームサービスradikoの生みの親。昨年、電通をお辞めになって、関西大学の教授になられたけれど、音楽業界、メディア業界には欠かせない人だ。
 日本の音楽業界、メディア業界の表も裏もよくご存じの方で、僕も色んな事を教わっているけれど、ビジネス論だけで無く、文化論的な分析も素晴らしい。日本と韓国の音楽業界、政府の施策などを比較すると同時に、SMエンタテインメントのイ・スマンを、60年代に米国で一世風靡した「モータウン」レーベルの創始者ベリー・ゴーディや、戦後に日本の芸能界を創った渡邉晋と並べて、分析している。
 これだけ幅広く、総合的かつ俯瞰した視点で、日本の音楽ビジネスについて語った本は、他には無い。音楽に携わる人は必読。余計なことだけど、タイトルだけ惜しいと思う。書名がキャッチーならベストセラーになったかもしれないのに。
 ということで、必ず読んでください!

 「ソーシャル7」の共著者で、気鋭のソーシャルメディアマーケッター髙野修平さんによる音楽愛溢れる好著。「ソーシャル7」の第1章「ソーシャルメディアが音楽をドライブさせる」を読んで、興味を持ったら、この本を読んで掘り下げると良いと思う。
 音楽が伝播する段階として「共有」「共感」「共鳴」の三つあると説明したり、「トライブ(部族)」という概念を用いたり、参考になる考え方が説明されている。
 ソーシャルメディア上での広まり方を「ソーシャルグラフ」「ミュージックグラフ」「インタレストグラフ」「リレーショングラフ」と4つの関係性(=クアトログラフ)と解き明かしているのも興味深い。
 音楽ビジネスに携わる人は必読だよ。


 もう一人の共著者、松本拓也さんも2008年前に本を出している。
 ドラマ仕立てのミュージックビデオに人気モデルなどを登用して、ブログと連動して配信ヒットを出すという方程式をつくった仕掛け人で第一人者。関わったビデオクリップのYouTubeでの平均再生回数が100万回という驚異的な実績を誇っている。そんな著者だけにブログ活用のポイントがよくまとめられている。
 インターネットネットの環境そのものは4年で変わっている部分もあるけれど、ブログ活用の方法を考えるにはとても参考になる。
 
 他にも音楽関連のオススメ書籍はある。以前、ブログにまとめたので、興味のある方はこちらをどうぞ。

 最後に、もう一つ報告。10月にドリルスピンに寄稿した原稿が、ネット上で拡がって驚いた。3日間で48000PV、平均滞在時間620秒という、大きな反響があって、結果的に3部作として書くことになった。まだ読んでない方は、こちらからどうぞ。

■コラムスピン 第40回、42回、43回『iTunes Storeは日本では失敗してるんだよ』

2012年11月25日日曜日

NHK FM「元春レイディオ・ショー」に出演します。


 それは、記憶に無いくらい色んな種類の汗をかく体験だった。高校時代からのファンで、敬愛する佐野元春さんからラジオ出演の依頼をいただき、1時間番組で対談した。秘書の方からオフィスにお電話をいただいたときは、僕のアシスタントも混乱したらしい。「山口は外出しております。ご依頼の内容はわかりましたが、どのアーティストへのゲストのご依頼ですか?」と答えてしまったと苦笑しながら報告があった。そりゃそうだろう。執筆やセミナーへの出演などの「副業」の稼働も、最近は増えてきているけど、ラジオ出演は初めてだ。ましてNHKFMの名門アーティスト番組。お受けする旨をお伝えして暫くしてから「あっ!俺、ラジオ初めてだ」と思って、不思議な気分になった。

 音楽プロデューサーとしてアーティストマネージメントとしてラジオ局には散々お世話になっている。2004年には『月凪』という曲で全国FM局パワープレイの新記録をつくらせてもらった。親しくさせていただいているプロデューサー、ディレクターも多い。ラジオ収録に立ち会った回数なんて数え切れない。でも俺、初めてだったと、また別の汗をかいた。「大丈夫かな?」
 ユーザーとして楽曲は聴いているし、業界の先輩方がスタッフとして関わってられたから、お人柄についても伝え聞いている。でも、面識は全く無かったので、収録前にお会いしておきたくて、事前に時間をいただいた。
 佐野元春さんは、インターネットに関して、最も先駆的な試み、関わり方をされてきたアーティストだ。音楽活動も積極的で、最近だと、雪村いづみさんとのデュエットも素晴らしかった。NHKテレビ『ザ・ソングライターズ』でもインテリジェンスが光っていた。そんな事を思いながら、打合せに向かった。

 都内の閑静なエリアにある広いオフィス。大きなソファとテーブルがゆったりとしたスペースの真ん中にある。1時間の予定だったけれど、打合せを終えて失礼したときには2時間経ってた。「音楽配信の未来」について話したいとのことだったので、周辺状況も含めて、僕の知っていること、考え方などを率直に話し、佐野さんのスタンスを伺った。広範な知識としっかりとしたアーティストらしいお考えをお持ちだった。ビジネスマンである僕とは立場は違うけれど、ベクトルは一緒だった。「僕の番組は音楽が好きなリスナーが聴いている。山口さんや僕は色んな情報も持っているけれど、この日は現状への不満3割、未来の希望7割のバランスで話したいけど、どう?」と言われ、「大賛成です。」と答えた。

 内容については、オンエアーを聞いて欲しいけれど、良かったのは、2時間弱の打合せの間、世間話が一つもなかったこと。音楽業界でのキャリアの長い人同士の初対面は、しばしば「あの人を知っている?」という話の応酬になる。お互いの人脈をすり合わせることで、安心しようとするし、どんなキャリアの人かを探り合うようなやりとりに時間を割くことになる場合が多い。ところが、この日は全く無かった。僕の書籍もブログも読んでいると最初に伺ったので、自己紹介は省いて、自分の考えと、国内外の音楽ビジネス・サービスに関して知っていることを話した。「一流の人は業界”ずれしない」という事は知っていたつもりだけど、真摯に語る佐野さんの姿は本当に素敵だった。

 収録当日は、ガチンコだった。向かい合って座り、質問を投げかけられる。構成台本を見ながら話せるかと思っていたので、メモ一つ無い状態で、緊張感はマキシマムまで高まった。後から考えると、ジューシーな会話にするという意図だったのかもしれない。ミュージシャンのセッションみたいな感覚だなと、妙に納得がいった。その状況にきちんと対応できたかどうか、自信は無いけれど、佐野さんの包容力のお陰で、上手じゃ無いけど、嘘の無い話ができた気がしている。

 NHKの収録スタジオは、佐野さんが入られると、ぴーんと張り詰めて良い感じだった。スタッフが緊張感を持って仕事をしている現場は好きだ。ゲストの僕はリラックスした振りをするのが役割と思い、立ち会いにいらしていた伝説のディレクター湊さんと『サウンドストリート』の昔話などしながら、セッティングを待っていた。

 打合せの時にご本人にもお伝えしたけれど、カラオケボックスが一般的になる前、カラオケが苦手な僕が飲み屋に連れて行かれて、どうしても歌わなければならないときはいつもSomedayを歌っていた。25年位前のレーザーかテ8トラのカラオケで、僕が歌いたいと思える曲は、他に無かったんだ。
 もう一つ。ご本人にお伝えしそびれたエピソードがあった事を、佐野さんのベスト盤を聴きながら思い出した。高校時代にやっていたバンドで、たぶんNHKの番組の主催のコンテストに出場した。その時のゲスト審査員が佐野さんだった。僕はキーボーディストだったけど、作詞には関わっていて、歌詞を褒められて喜んだ記憶がある。もう30年位前の事だ。

 そんな方からのご指名でラジオで対談するなんて、光栄なことだなぁ。そして、僕の憧れは裏切られること無く、素晴らしい体験をすることができた。柄にも無く、神様に感謝したい気分。記念撮影をねだってしまったのは、友人なら驚くだろう、僕には珍しいこと。「ブログにアップしちゃダメ!」と言われたので、このまま家宝にします^^ 

 放送は124()23時〜24時。NHKFMです。お時間ある方は、聞いてみてください。すごく緊張して、へたくそな説明の僕が、でも嬉しそうに話してるはず。
●「元春レイディオ・ショー」オフィシャルサイト


<告知>
 佐野さんも読んでくださったらしい僕らの本『ソーシャル時代に音楽を"売る"7つの戦略』はこちら。発展させて、メールマガジンとして活動を継続しています。音楽ビジネスに興味のある方は、是非ご購読ください。
「音楽人」養成メルマガ~ソーシャル時代に音楽を売る7つの戦略とは?~

 音楽ビジネスの新スキームへの挑戦の一環でもある「j-Pad Girls」は、クラウドファンディングを使って、2nd Seasonのサポーターを募集中です。興味を持った方は是非参加してください!温かいご支援をお待ちしてます<(_ _)>
「j-Pad Girls」東京から世界に発信するメディアアート・プロジェクト

2012年11月18日日曜日

 j-Pad Girls「ボードメンバー制度」始めます 〜クラウドファンディング実践中〜


 新プロジェクト「j-Pad Girls」は、2ndSeasonが始まり、お陰様で好評。権威ある「週刊文春webで紹介されたのはありがたかったけど、自分まで撮影されたのは恥ずかしかった。ただ、一流のカメラマンは、被写体をいじるのも上手だし、シャッターチャンスを逃さない。萩庭さんのお陰で、「破顔一笑」という感じの写真が掲載されている。これなら好感度あがるかなぁ?(笑)
 
 
 総合プロデューサーを名乗る僕としては、「ソーシャルメディア最適化コンテンツ」とは何かという事をいつも考えている。全てが可視化されるソーシャルメディア上で注目され、共有され、話題にされ、拡散されるにはどうすればよいのか、そして、ユーザーとコミュニケーションをとりながらコンテンツをプロデュースするってどういうことなんだろう?そんな事ばかり考えている。
 『ソーシャル7の共著者でソーシャルメディアに関する僕の師匠である、髙野修平君の言葉を借りれば「共有」「共感」「共鳴」の3つを、どうすれば起こせるのか?

 そんな問題意識の中での、一つのトライが「ボードメンバー制度」だ。そもそも「j-Pad Girls」はプロジェクトの開始の発表をクラウドファンディングのサイトで行った。「僕たち、こんなことやるので、お金出してください」と、公の場で言うのは、勇気のいることだった。従来の業界の人からは「蛮勇を奮った」と見えるかもしれない。
 エンターテインメントビジネスの方法論の一つとして、クラウドファンディングは可能性を感じている。プロジェクトを始める前に、ユーザーの審判を受けるという側面もあって、ドキドキ感が満載だ。先日も、AIU RATNAというアーティストのインドネシアからの来日資金をCampfireというサイトで集めだけど、目標金額に達したのは締切当日で、冷や汗をかいた。(ご支援いただいた皆様、本当にありがとうございました)



 今回の「ボードメンバー制度」は、クラウドファンディングにふさわしい「リターン」として考えた。「このプロジェクトは面白いから応援しよう!」と思ってくれたユーザーには、継続して見守ってもらいたいし、意見も聞きたい。
 Board memberは日本語に訳せば「取締役」。株式会社では、株主から経営の方向性を決める役割。「j-Pad Girls」は、僕と浅田祐介が代表執行役みたいな立場だけれど、重要なことの意見を聞く場をユーザーと持ちたいと思ったんだ。

 プロデュースをしている過程で、ユーザー目線だと、どう感じるのか知りたいと思ったことはこれまでもある。例えば、ジャケット写真やアーティスト写真のチョイス。プロデュース方針に合うかどうか、クオリティ的にOKかどうかは、プロとして即座に判断できるけど、ディテールでは「どっちもありだなぁ。どっちがいいかなぁ?」と悩むことも意外に多い。せっかく、クラウドファンドで支援者を募るのなら、そういう選択に参加して貰うのもいいのではないかと。幸い今は、フェイスブックの非公開グループなどを使えば、簡単にコミュニケーションや投票などもできる。「ソーシャルメディア最適化」プロデュースとしてのトライアル。
 プロモーションキット付で2000円。YouTubeなどの動画には名前もクレジットできる。スタッフと対話できる立場を手に入る。僕らプロデューサー陣はドキドキだけど、みなさんにはワクワク感を少しでも与えられたら嬉しいな。

 214日は初のリアルイベントもやります。VJイベントみたいなつもりだったんだけど、やる気満々のアーティストが1st Season2nd Senasonから計6人。卒業間近のMayと北京在住の羅さん以外は、歌いに来てくれることになった。相沢まき船田真妃山下瑞稀伊藤寿賀子酒井蘭小幡尚美(敬称略)。週刊文春webの写真を見て欲しい。さすがに、美女・美少女好きを自称するキャスティングプロデューサー松本拓也入魂のキャスティング。これだけ多種多様な、でも本物の「美女」が揃うことって、なかなか無いんじゃないかなぁ?眼福って言葉があるけど、まさに観てるだけで、なんか幸せな気分になるよ。しかも、みんな表現力が豊か。歌にサムシングがある。ステージ上も最新のテクノロジーをアナログ感で採り入れる「j-Pad Girls」らしいイベントにしたいと、知恵を絞って、相談しているところ。ライブの入場券付はプラス3000円。70人も入れば満員になる渋谷の小さなクラブスペースでやるつもり。彼女たちと飲める訳じゃ無くて、僕らスタッフとだけど、打上げへの参加権付のリターンもあるよ。
 今回のイベントがうまくいったら、もう少し大規模にしていきたいと思っている。その辺のやり方も「ボードメンバー」に相談したい。

 実は、3rd Seasonのキャスティングも進行していて、そろそろ次の4人も決まりそう。「ボードメンバー」は「秘密保持」の規約に同意して貰うので、解禁前の情報もリークしちゃいます。その次のキャスティング候補のアイデアも募ります。
 そんな「ボードメンバー制度」、参加してみませんか?



追伸:僕が監修して、音楽ビジネスの未来について考えるメールマガジンを11/20(火)に創刊することになりました。週刊。今なら無料だから、こちらもチェックして登録してね!

2012年10月14日日曜日

j-Pad Girls経過報告 〜初のチャートイン!もkickstaterは不成立〜



 東京から世界へ発信するメディアアートプロジェクト「j-Pad Girls」頑張ってます
 ソーシャルメディア最適化を宣言しちゃったので、ともかく可視化して挑戦中。

 3曲目で初のチャートイン!

 3人目に登場相沢まきさんの「君をのせて」は、初めてチャートインしました。Amazonmp3ダウンロードランキングで1位(!) iTunesのミュージックビデオのj-Popランキング17位、レコチョクビデオクリップチャート87位とランクイン!嬉しい結果です。
 宮崎駿アニメ『天空の城ラピュタ』から「君をのせて」をカバー。しっとりとした声だけでつくられた透明感が、楽曲の世界観と合っているのでは?
 テレビではコミカルな側面を見せることも多い相沢さんですが、表現力もあって、芸達者な方です。気遣いも素晴らしく、長く人気があるのがわかります。彼女とは、今後も継続してなにかやれるとよいなと思ってます。
 まだの方は、こちらで動画をご覧下さい!


 米国でのクラウドファンディングは失敗!
 さて、次は残念な報告。米国の代表的なクラウドファンディング Kickstarter」は目標額に達せず、失敗しました。
 6backers$575しか集まりませんでした。6人の内、二人は私とキャスティングPの松本さんなので、実質4人しか届かなかったという厳しい結果。
 Kickstarterのサイトから「unfortunately で始まるメールがきたけど、まさに、こう言うときに使う言葉だな。「残念ながら」って感じでしょうか。
 米国のニュースサイトやブロガーなどにきちんと働きかける努力が足らなかったと思います。Kickstaterのサイトに載せるだけではダメというのは当たり前だよね。Facebookのファンは12000人まで増えているのですが、アジアが中心。PR会社もj-Pad Girlsのチームに入ってくれたので、体制を立て直して、捲土重来を期します!米国ユーザーによるクラウドファンディングは、既に成功している場所なので、何とか食い込みたいです。

 ということで、自戒も込めて(罰ゲーム?)超恥ずかい映像を公開。英語が下手なのはともかく、出っ腹が目立つのが自分的にはNGなのですが、、、怪しいアジア人だよね?浅田祐介さんと山下瑞稀ちゃんは頑張ってくれたのですが、、。unfortunately!!
 みんながお辞儀しているのは、日本のカルチャーの象徴の意味で、お詫びしている訳ではありません^^
 
 スーパーパトロン紹介 
  一方、お陰様で、サクセスをした、日本のクラウドファンディングCampfireで、前回スーパーパトロンになってくださった方は4人です。ブログでの紹介の許可をいただいたのはその内の1名なので、ここでご紹介します。
  
 福澤栄昭さん Twitter @atama_necktie 
    j-Pad Girls支援のきっかけ:CAMPFIREにてプロジェクトを知り、音楽の形としてありそうでなかった物であると感じた事と、 面白そうであると感じた事が支援のきっかけです。。また、リターンが魅力的だった事も支援のきっかけの一つです。 

 福澤さんありがとうございます。ツイッター等で、いつも積極的な拡散協力をしていただいて、感謝してます。サポーターの皆さんに支えられて、プロジェクトは前に進んでいくのだと思います。

 j-Pad Girlsはまもなく、第2弾参加アーティストの発表です。また、4人まとめての予定で、今回もCampfireからの情報解禁にさせてもらおうと思ってます。(もう、言いたくてたまらない、、、、けど、まだ秘密です)
 水面下では既に、第3弾のキャスティング中。関連企画も相談中です。プロセスをバレバレにしながら、皆さんと一緒にやっていければ、100人やるのは2年以上かかると思うので、気持ちをながーく持って、継続的な応援をお願い致しまする。

 それにしても、このブログは、更新をさぼりすぎだよね^^; 構えすぎる癖があるので、気軽に書かないとね。

2012年7月29日日曜日

何故、大阪市は文楽を守るべきなのか? 〜歴史はお金で買えない〜


 大阪市の文楽協会への補助金の削減が問題になっている。橋下市長の発言も含め、論点がおかしいと思うので、整理したい。


 僕は橋下市長の維新の会や大阪都構想には、基本的に賛成だ。国から地方への権限委譲の必要性は、長らく語られてきたが、具体的になっていない。大阪市と大阪府の二重行政の無駄も大きいだろう。
 大阪市の既得権益の構造は根深そうだし、橋下さんのようにマスメディアを活用して、市民の支持をテコにしないと抜本改革は難しいと思う。優秀なブレーンも集めているし、是非、頑張って欲しい。
 文楽協会への補助金削減も、そこに巣くう大阪市からの天下り役人や、文楽協会の事務局の守旧ぶりを炙り出すという意図もあるのかなと思う。ただ、観客動員数を評価のポイントにしたり、演出までに口を出すのは、基本的な姿勢として間違っている。

 さて、文楽の価値は何か?
 最初に断っておくと、僕は文楽について全然詳しくない。行ってみたいと思いながら、ちゃんと生で観たことは無い。でも、僕にとっても文楽を守ることはとても大切だ、何故か?
 橋下さんの話法に合わせて、短く言うなら「長い歴史があるから」。そして、「国内、海外で、その存在が知られているから」。それだけで理由としては十分だ。実際、ユネスコの世界無形遺産にも指定されている。

 歴史的建築物を文化財として守るという事と基本的に変わらない。文楽を観客動員数で評価するのは、
「五重塔は、ディズニーランドより動員力無いし、スカイツリーより眺めが悪いし、実際に人が住めないから、守る価値が無い
 と言っているようなものだ。
 観劇してみて、退屈かどうかなどという基準を用いるべきじゃ無い。

 商業演劇やポップスのコンサートは観客動員で、ある程度評価できる。市場原理の中で、消費者の支持を集めた作品が「勝者」で良いと思う。僕は自分がプロデュースした作品を売上数やランキングで価値付けされることを潔く受け入れて仕事している。それがポップスの、そしてショービジネスのルールだと思うから。
 伝統文化は全く違う。文楽(人形浄瑠璃)は、既に、数百年単位で日本人、そして世界中の人たちの支持されてきたのだ。それを踏まえて判断しなければいけない。
 今回、もし橋下市長が、文楽協会を潰してしまったら、これからどんな成果を挙げようとも、愚帝として数百年と語り継がれることになる。行政改革の効果は長く持っても100年だろう。文楽は既に、その3倍以上の年月を生き延びてきているのだ。その歴史に敬意を払うべきだ。
 文化の価値は、目先の貨幣的な価値だけでは図れないことを知って欲しい。
 
 橋下市長は「競争力のある大阪」を掲げて、東京と対抗できる都市となれるように活性化したいと言っているという。大阪の価値は何だろう?東京には、江戸開都から数えても、せいぜい500年位の歴史しか無いのに対し、関西エリアには、1500年近い歴史のある街がある。国際的に見ても、歴史のある国や街は尊敬される。幸運にも文楽は大阪で生まれ、育っている。大阪のブランド力をあげるために文楽の存在は有効なカードなはずだ。守旧派のスタッフを追い出して、芸術家を街のブランド力向上に役立つように活用させてもらえば良いと思う。
 「国力」は、総合的なものだ。国際的に評価されている伝統文化を持っていることは、国力向上にも有効だ。重要な国際会議の交渉場面で、文楽の比喩を使うことが、こちらの主張を通す一助になることもあるかもしれない。政治家には総合的に日本の国力をあげていくという視点を持って欲しい。
 
 余談だけれど、経済産業省がクールジャパンで、高尚な文化論を語っているのは、これとは真逆の意味で、間違っていると思う。
 このサイトを見ると悲しくて、泣きそうになる。
 日本のポップカルチャーの文化的な価値に関して、経産省がウエブサイトを運営している理由が全くわからない。大至急、仕分けすべき。
 そんな予算があるなら、海外のコンベンション参加のアーティスト達の旅費を補助する(世界のほとんどの国ではあるからね)とか、航空会社に楽器が壊れないコンテナの研究をさせるとか、海外の興行で円決済をしやすくするための制度研究とか、もっと商いにつながることに労力を使って欲しい。
 フランスでコンサートをやる際は、オープニングアクト(前座)に、フランスのバンドを使わないと罰金がとられるそうだ。自国の文化を後押しする制度は諸外国に様々な例がある。日本もそういうことやれば良い。
 
 大阪市長が、伝統文化を「商売」で語り、経済産業省がポップカルチャーを「文化論」で語ってる。逆でしょ?


<参考リンク>
ドナルド・キーン氏、文楽は「人間より美しい」
⇒日本文化の専門家のインタビュー。文楽の価値が素人にもよくわかる。

“人形遣い”の器量は、分からないもので分かる小田嶋隆 ア・ピース・オブ・警句)
⇒いつもながら切れ味鋭いコラム。同感です。