2011年8月4日木曜日

極私的タイ論。タイ好きは、ダメンズ好きと似てる? 〜「ハングオーバー2」を観て、バンコクについて書きたくなった。〜

「ハングオーバー2」を観た。独身最後の夜に男友達が集まって馬鹿騒ぎをするのだが、
記憶が無いくらいハメを外して、事件を起こしてしまうというコメディ。好きな映画だ。
前回は、ラスベガスが舞台だったけれど、今回は花嫁がタイ人と言うことでバンコク。
映画自体は、前作以上のハチャメチャで面白かったけれど、そこで描かれているバンコクが矮小化されていて、映画は面白かったんだけど、大好きな街だけに、ちょっと悲しかった。リアリティを求める映画では無いけれど、そんな偏見で捉えるなよって思ってたら、タイについて書きたくなった。

「ハングオーバー2」で出てくるタイは、ごみごみした町並みと、オカマのショーがフューチャーされて、少し前のプロトタイプの東南アジアの都市という感じ。
(後半の重要なシーンででてくるビルの屋上の絶景レストランは、有名な「シロッコ」だと思う。)

僕は、オーディションで選んだ16歳のタイ人女子高生を日本でシンガーとしてデビューさせたという珍しい経験を持っている。(その過程は誠ブログに書いたので、こちらをご覧ください。)
CDリリースやフェスティバルへの出演等、音楽活動をしただけでなく、タイのアーティストとも交流したし、タイのレコード会社や制作会社と直接、契約をして、様々な形で関わった。

その体験を踏まえて、僕なりのタイ観がある。バンコクは、サブカルチャー、都市文化という意味では、今、世界一刺激的なんじゃないかな?
音楽も、バンド系、クラブミュージックなど、幅広く、良い意味で無節操。不良欧米人も多いし、宗教的な禁忌も無い。ゲイが一番のびのびしている街かもしれない。

そもそも、日本人にとって、タイは親しみやすい国だと思う。よく言われていることだけど、
1)西欧の植民地になったことがなく
2)仏教国で
3)王様がいる
というのが、アジアでは、日本とタイだけの共通点だ。
「微笑みの国」と言われるくらい、優しい国民性だし、日本人には付き合いやすいと思う。
ちなみに、今、世界で一番たくさん日本人がいるのは、バンコクだそうだ。数年前にニューヨークを抜いたと聞いた。
大使館が把握している「公式の」滞在者だけの数なので、実際はもっと多いかもしれない。食事も、すごく美味しい。辛いのが苦手な人は、ちょっとつらいかもしれないけど、
タイ料理だけでなく、イタリアンなども安くて、美味しいお店がたくさんある。

 そんなタイに、去年はテロがあった。テロと言っても、イスラム圏の無差別とは違って、当初は牧歌的だった。占拠されているデパート前を歩いたけど、屋台まで出ていてお祭りみたいな雰囲気。後に、お互い引っ込みがつかなくなって、先鋭化していったね。日本の反安保の学生運動とかこんな感じだったのかなと思った。
死者が出たのは、国際的にもイメージダウンだった。空港を占拠したのも驚いた。観光が大きな収入源のはずなのに、国内の政治闘争で大きな損失をつくった。
 自分の仕事にも悪影響があったので、詳しく知りたくなって、タイの政治状況について、タイの友人達にいろいろ取材してみた。

話題の中心である元首相のタクシンは、本当に賛否両論、毀誉褒貶がすごい。話を聞いていて、日本で言えば、田中角栄とホリエモンを合わせたような感じかなと思った。
タイの農村を「改造論」を掲げて、お金をばらまいて、地方の農民から強い支持がある。同時に、旧い経済の仕組みを改革して、経済を活性化させたけれど、その事で旧体制から反発を受けた。王様に対する敬意が足らなかったことも嫌われている理由。価値観のパラダイムシフトをやろうとして、中途で国から追い出された。私欲も強くて、国も豊かにしたけど、私腹も肥やしたらしい。田中角栄+竹中平蔵+ホリエモンという感じかしら?そのくらいの影響力があったと思う。

いろんな話を聞いていて感じたのは、社会としてダメなところも、日本とタイは似ているなということ。既得権益の仕組みを壊せずにいる様子、変な壊し方で不都合がでてる状況が日本をもう少し悪くしたような印象をもった。

長くタイで仕事をしている多くの日本人が、タイ人には「木を見て森を見ない」という特質があると言う。目先の感情論や面子みたいなものに引っ張られて、本質を見失ってしまうことが多いらしい。実際、デモの先鋭化もそういう印象がある。
僕自身、タイの会社とビジネスをしていても、視野が狭くて、半端な感情論から抜けられず結果、その本人も損しているのに気づかないというケースを何度か見た。ずるく立ち回るうとしているなら予測も交渉も可能だけれど、論理を理解せずに、目先の気分で突っ走られると、対処が難しくて困ってしまう。環境をきちんと認識せずに、損な選択をかたくなに選ばれると打つ手が無い。深い嘆息とともに諦める。そんな経験を何度かしている。

正直、ここには書けないようなことも含めて、タイ人やタイの会社からは、理不尽な迷惑を受けたことがあるのだけれど、それでも何故か、タイとタイ人を好きでいる自分がいる。
以前「ダメンズ」と言う、甲斐性の無い男ばかりを好きになる女性のコミックが話題になっていたけれど、そんな気分もあるのかもしれない。暑いところで、辛くて美味しいもの食べていると、「マイペンライ(まあいっか)」と思いがちだよね。シンハービールも旨いしね。

まったく個人的でとりとめの無くなってしまったけれど、タイのことは、今後も時々書こうと思います。違うと思ったら遠慮無く指摘してください。嗚呼、トンローの屋台のバーミーが食べたい!

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